素晴らしき旅・毎日が新発見 !!!

これまでマレーシア、インド、ラオス、カンボジア、中国に仕事で20年近く滞在しました。その間にタイ、ベトナム、インドネシア、モルディブ、シンガポールなども訪問しました。それらの国々で体験したり感動したりした素晴らしいことや珍しいことを皆様にご紹介させていただきます。

デリー・運転事情 (記:1999年3月下旬)

「ああ、無事に帰ってきた!」 毎晩、家に着いた時の感想がこれです。車の後部座席に座っているだけなのに、神経が磨り減っていくようです。

 マレーシアにいた時、乱暴な車の運転を見て、自分で運転をする決心をするのに半年位かかりましたが、ここデリーの車の運転の凄いことといったらクアラルンプールの比ではありません。こちらへ来て間もなく、インドの運転免許証を取得しましたが、多分2年の任期中、自分でハンドルを握ることはないと思います。

 3車線の道路に5台並んで走っています。右折しようとして止まっていたら、自分の車の左側を通る車がこちらの車体をこすって走り去っていきました。こんなことを1ヶ月に2回経験しました。車をこすられるのは日常茶飯事のようで、被害を少なくするために、ほとんどの車には新車の時からサイドミラーがついていません。もし、ついていたとしても、内側に折り畳んで走っています。一体何のためのサイドミラーでしょうか。私なんかはサイドミラーなしでは怖くて運転できません。

 大きい道路が交差するところでは、交差点ではなくてランナバウト(大きい円状の道路に合流して、行きたい方向に出て行くという方式)になっている所が数多くあります。インドと同じくイギリスの植民地であったマレーシアもこの方式でした。ここを通過する時には、ひとつルールがあります。それは「先に円に入っているものに優先権がある」ということです。マレーシアではこのルールは殆ど守られていました。ところが、ここでは「猛烈な勢いで走り込んできた方が勝ち」なのです。特に、大型のバスやトラックはランナバウトに入る時、絶対に減速しません。円内の動きが全く止まってしまって、ある方向だけが流れているということがしばしばあります。

 自転車も一番歩道寄りをおとなしく走るということはありません。一番真ん中を悠々と通っているので、いつもひやひやしながら、車に乗っています。

 とにかく、各人が『自分だけのルール』で、公共の道路を使っているという感じです。その上、これに牛が加わりますから、もう大変です。しかし、ここはヒンドゥー教の国ですから、どんなに邪魔でも牛様にはかないません。通り過ぎるのを気長に待つのみです。時には象も歩いています。勿論、象使いが一緒ですが、、、、、

 車の整備がよくないせいか、空気がとても汚れています。デリーへ到着した日(1998年11月29日)にホテルへ向かう時、「変な匂いがするな」と思ったら、排気ガスの匂いでした。暫くの間(2~3週間位)、は頭痛がするほどでしたが、今はもう慣れてしまいました。この慣れは恐ろしいことです。

 お陰様で約4ヶ月病気一つせずにやってきましたが、健康診断の時に「肺の検査で何と言われるか」と、今からそれだけが心配です。

※追記:

 インド人の運転手が田舎に帰ってしまった後、いい運転手が見つからなかったので、結局2年以上も自分で運転することになりました。「人間、慣れれば何でもできるもんだ!」と思いました。あんなに恐ろしかったインドの道路を平気で運転できるようになったのですから。勿論、無事故、無違反でした。

 日本へ帰ってきてから、すべての車が車線を守って整然と走っているのを見て、違和感を感じました。インドのように各人が自分のやりたいように運転しているほうが人間味があるような気がしました。